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心の風景

2023年3月 7日 (火)

『金の卵』 ~ 十五の春

もはやもう、「金の卵」は死語であるらしい。忘れることも生きるコツかもしれない。それにしても学校では古代史を学ばせるのだが、近代史は学ばせない。試験にも出ないからひたすら忘却の彼方へ。3・11・はまだ記憶に新しいけれど、すでに風化しつつある。

少しは心のどこかに、記憶しておいたほうが良いとは思うけれど、今の若い世代は受験勉強でそれどころではないらしい。大学に入ればバイトが忙しくて考える暇もないとそうだ。卒業しても就職できなければ奨学金の負債が追いかけてくるという現実。心の余裕もない。

かつて、集団就職という国策があった。貧しい田舎の子供たちを斡旋する就活である。自分より成績の良い子が便乗して都会に出て行くときに、就職列車という夜行臨時列車に乗るのを近くの駅で見送ったことがある。そのすすけた古めかしい列車が到着したときには、すでに北のほうから赤いリンゴほっぺの女の子たちが乗り込んでいた。安定所のオジサンが旗を掲げて同乗(人買いのごとく)。見送りに来た親たちは走りながら列車を追いかける。テールランプが闇に消えた。 

そして自分は高校に行けることの幸せをかみしめた。

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早朝上野駅に着くと金の卵の受け入れ先が旗を振って、向かいに来ていた。まるで人買い市場のような賑わいだったと言いう。彼らはそれぞれの職場で修業に励み、盆暮れに帰郷することが唯一の楽しみだった。

時には仲間たちと上野の西郷さんで待ち合わせて、「高校に行った人達に負けないように頑張っぺ」と励ましあったそうである。

映画「3丁目の夕日」そのものである。

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東北は圧倒的に貧しい農村で子だくさんが多かったから、中学を卒業すれば実家から出ていくのは当然のこと。中卒の友人と連絡を取り合っているが、当時を特に不幸だとは思っていなかったという。

学歴社会の中で、彼らこそ日本を支えてきたことを覚えておきたい。

十五の春「金の卵」の上野駅

 

 

2023年1月31日 (火)

『ばあばんの孫句』 ~ 冬の部

昨年逝った老姉の部屋をのぞいたら、なんともほっこらする手製の句集を見つけた。定年後、俳句を始めていた姉の「孫句」である。それほど孫愛の強い姉とは見受けなかったけれど、やはり孫は可愛かったらしい。

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孫句をピックアップして、姪がちぎり絵で句集を編集したのだとか・・・母娘の共同制作ということで微笑ましい。

 

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時には孫を預けられたらしい。

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東北の冬の寒波は当たり前。私の知らなかった姉の一面が垣間見れて楽しい。 もう、孫たちも四十路である。

 

 

2023年1月13日 (金)

『雪うさぎ』

今年は兎年。 ついこの間、兎の賀状をもらったような・・・・。 

再び兎に会えるまで生きながらえる自信がなくなったから。月日の経つのが目まぐるしいと感じるのは年齢のせいかなア。

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今年もジュエリーデザイナーからの素敵な賀状が届いた。耳を持ち上げるとお子達の写真が。まるで、賀状建築!賀状コンテストなんてないのかなア・・・

 

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これが本当の『雪うさぎ』ですね。 新潟の魚沼のおじいちゃんが作ってくれたそうです。3歳の孫は喜び庭駆け回る ♫♪♫

 

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もう半世紀以上前の母の作品。母亡き後、処理される前に引き取った。そして、兄の棺にそっと納めた。

 

 

 

2022年10月23日 (日)

『変貌するふるさと』

久しぶりで故郷を訪ねた。5月に亡くなった老姉にはコロナのせいで2年も会わず仕舞いだった。せめて墓参をしておきたいと思った。 

街はすっかり変貌し、賑やかだった商店街は正にシャッター通り。あの頃の大人たちも皆お墓に眠っていることだろう。子供の頃のかすかな記憶が蘇った。

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姉夫婦が建てた墓の両隣は夫婦両家の墓も移動していた。墓を守るのも大へんらしい。 やがて、墓仕舞いになったりするのかもしれない。

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遠くに懐かしい山が見えた。家並みはすっかり新しい。この地で生まれ一生を過ごした姉を思う。

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般若寺: 鐘撞堂が新しくなって、土葬の時代は棺を担いで上っていった坂道も舗装されていた。

 

2022年7月26日 (火)

『あの男』

あの男

わたしにはあの男へのいささかの同情がある。否、「いささか」ではない。
かなりの、だ。あの死者は美化されすぎである。あの死者は凶相であった。

 

高温多湿の不快指数の中で、凶相に捧げる献花台への行列、都知事の涙・・・映像にはどこか白々しさが感じられたが、この辺見庸氏のたった2行の強烈なコメントに感動した。

 

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アルメニアの教会で

 

2022年6月 6日 (月)

『花は散る』 ~ ヒトも 

先月(5月)は二人の老姉が相次いで逝った。田舎在住の姉は生まれ育った町で教師としての一生を終わった。 葬儀はコロナを理由に欠席(田舎ではまだ偏見が・・・)。

二人とも、昭和と平成を生き抜いて、令和に入ってからは健常者ではなくなっていた。コロナのせいでこの2年は会わずじまいだった。

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「サピエンス全史」を読み終えたばかりだっという読書家の姉の棺には「世界」と「図書」。庭に咲いていたラヴェンダーとローズマリー、そして藍染人形に好物のゆで卵を入れた。シングルマザーとしてドラマチックな人生を送り、希望通り無宗教の小さなお葬式。なかなか簡素で良かった。5人の孫たちの涙のスピーチも良かった!

 

 

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花もヒトも最後は枯れ果てるということをつくづく思う。 プーチンだって同じサ。

 

 

2022年2月 5日 (土)

『路上のらくがき』

転ばないように下を見て歩いていたら、昔の自分が描いたような作品に出会った。昨今は路上で遊ぶ子供たちを殆ど見かけない。コレハ懐かしい!とカメラに収めた。 人間は生まれて同じような歴史を繰り返している。どんな老人も、昔は、皆子供だったのだと当たり前のことを感じさせる。

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パルマスミレ

コロナ禍で気分が滅入るから、花を買うことが多い。店先には単価380円のパルマスミレが並んでいた。特別安価で購入できましたとあり、普通では入手できにくい高価な花なのだろうか? かすかに良い香りがする。

 

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2021年10月27日 (水)

『コートダジュール』 ~ 旅の記憶

駅前の花屋で「ノボタン」の苗木を買った。 ラベルをよく見ると「コートダジュール」と書いてある。紺碧色の花が咲くかと思ったら、濃い紫色だった。 みじめな旅の記憶が蘇った。

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半世紀前の貧乏旅行でスペインからイタリアへ向かう途中、コートダジュールと言われる海岸(ニース、カンヌ)を電車で通過したことがあった。当時のユーレイルパスはファーストクラスだけだったので、貧乏旅行者でも金持ち族と鉢合わせになる。襤褸リュックに着た切り雀のアジアの女の子を見る冷たい視線を、この時ほど感じたことはなかった。 紺碧の海の色だけが印象に残った。

パリではフランス語を話せないと切手すら売ってくれない。今思うと、当時のフランス人は英語が話せない人が多かったのだろう。それにしても冷たい! 須賀敦子がフランスからイタリアへ鞍替えしたのがうなずける。

それにくらべると、旅人に優しいトルコの旅はなんと心地よいことか・・・。

 

 

 

 

2021年7月 7日 (水)

『七夕』

昨日は久しぶりに出かけた。場所は小石川後楽園の涵徳亭。 入り口を入ると懐かしいものが迎えてくれた。ゴテゴテしない昔風のシンプルな笹の葉の七夕飾。  懐かしい!  子供の頃を想い出した。

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それにしても、今年の梅雨は異常に長く感じる。自宅幽閉時間が長いせいかな???

Eテレの100分de名著ではボーヴォワールの「老い」をやっている。 確かに、体験を通して、若い頃にはわからなかったことが理解できそうな気がする。 長生きすればだれでも通過する「老い」も悪くはないものだと信じたい。

 

2021年5月30日 (日)

珈琲と百合

ワクチンと五輪騒動で静かな生活もままならない。梅雨入りかと思いきや、そうでもない、曇天で蒸し暑い。ひたすら無駄な時間が過ぎて行くような気がする。

最近は、よく花を買う。百合を部屋に飾ると、炒りたての珈琲が負けじと香りを競い合う。珈琲を冷まして缶にいれたら、百合もおとなしくなった。

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オリエンタル百合: 比較的安価で生命力が強い

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近くの住宅地にある珈琲豆屋:豆から焙煎まで一気にやってくれる。 なぜか本店は北海道。

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本日の東京新聞: 何を考えているのか伝わらないけれど、ワルイことを平気でするオジサンもついに変異?

 

さて、友人はこんなコメントを寄せてくれました。 御意!

このコロナ禍の中で、IOCと菅政権、小池都知事はオリンピックを強行開催するようです。今やオリンピックは平和の祭典なんかではなく、主催者側の強欲と利権に骨がらみの一大イベントであることが可視化されました。僕は最近、オリンピックそのものの反対論者になりました。

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