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読書の時間

2022年11月30日 (水)

『わたしの心のレンズ』 ~ 大石芳野さんの現場

フォトジャーナリストとして活躍している彼女の名前は認知していたが、著書は初めて読んだ。男女同権とはいえ、カメラの重さも平等。取材地は過酷な場所。戦禍の中で苦しむ多くの人びとに会い話を聞き、写真に収めてきた・・・。

ベトナム ~ アウシュヴィツ ~ カンボジア ~ 広島 ~ 長崎 ~ 沖縄 ~ ニューギニア・・・・

女性のハンディを背負いながら、女性特有の繊細さを武器に取材した愛おしい写真たち。心のレンズは曇っていなかった。

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コロナ禍での休息で現場の記憶を紡ぐという一冊をよみながら、師走を迎えることに。

2022年9月 5日 (月)

神谷美恵子の本

このところ、何かと不快指数が高く、努力とか忍耐では収まらない状態。そんな時はこの人の文章を読むに限る。まるで、上等なカウンセリングを受けた如く心が静まるのだ。 出会いは、まだ20代のころ友人から誕生日に「心の旅」をプレゼントされた。通勤電車の中で降車駅を通過するほど夢中で読んだ。その後、殆ど読破しているつもりだった。

先日、図書館で本書を見つけた。引用されているのは読んだ記憶があるものが殆どだったが、新鮮だったのは「神谷美恵子の本棚」と言う項目で彼女の愛読書とコメントと年代が明記されていることと、中井久夫氏の「神谷美恵子さんの『人と読書』をめぐって」である。

例えば、ハンス・カロッサを読んで:

医者を業としながら、この世界に呼吸していたカロッサというひとの存在が慕わしい。シュヴァイツアにないやわらかさと、陰影と渋味がある。『青年の秘密』を大枚230円で入手。あみものをしながら読む。こうしたぜいたくは何カ月ぶりであろう。私の心は久しぶりで俗世のわずらわしさから解き放たれ、無限の世界、詩の世界に遊び、歓喜の声をあげた。と同時に、眠っていた使命感、書かなくてはならぬ、という衝動がもくもくと起き上がって来る。

しかし、そのためにはどれほどの真実さが必要な事だろう。1950.09.18 36才

 

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みすず書房:神谷美恵子コレクション「本、そして人」

抱え込んで読んでいると、図書館から返却要望のメールが届いた。やはり、大枚はたいて買うべきなのだ。

 

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1914~1979  65才没

幼少期をスイスで過ごし、フランス語に親しむ。青年期に結核を患う。遅まきながら精神科医になり、二人の子供を育てながら、ハンセン病治療に関わる。 生活の為、アテネ・フランセでフランス語を教えた時期も・・・・。

 

2022年7月19日 (火)

『天皇はいかに受け継がれたか』 

タイトルには興味があったので、めくってみたが、一向に前へ進まなかった。 それと、学術会議をボイコットされた加藤陽子氏の著書だと誤解してしまったのだ。彼女は編集責任者であった。

古代、中世、近世、近代とに分かれ、それぞれの専門家が書いているのだが、暑さも相まって、途中でどうでもよくなってしまった。

女系否定と臣籍降下等々、国会議員たちのどのぐらいの人たちが本著を理解できるのだろうか?

 

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明日は図書館へ返却しよう。

2022年7月12日 (火)

『ボッコちゃん』 ~ 星新一の世界

蒸し暑く、外界は何かと騒々しい。こんな時はどんな本を読めばいいのか・・・。ハタと気が付いた。若い時から名前だけは知っていて読むことがなかった星新一のショートショートを見つけた。各章2~3ページの短文(掌編)である。

あっという間に物語は終わる。登場するのはロボットだったり、サルだったり、とにかく結末が早いのは読みやすい。現代版昔話的でもある。

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星新一(1926~1997):

父は星薬科大学・星製薬の創立者。本名の親一は「親切第一」の略だったとのこと。要望や作風とは裏腹に実生活でもギャグ連発の「奇行の主」の側面があったという。身長180センチ、小松左京によれば少年愛の傾向があり、一時はピーターを追いかけまわしたとか・・・・そんなところも興味深い。

湿度96%の日本の夏、いつの間にか冷房無しには生きられなくなった。電気が切れたらどうなる? ボッコちゃん助けて~。

 

 

2022年7月 2日 (土)

『ベストエッセイ 2021』 ~ 日本文芸家協会編

10年ほど前から、前年発表されたエッセイを文芸家協会が収録したものらしい。なんとなく図書館にリクエストしていたら,かなりの時間経過でやっと到着。 なんとまあ、作家・エッセイストと名の付く文筆家の多いことに驚いた。 おそらく文芸家協会会員の方々なのだろうと思うけれど中には髭の殿下のご長女のお名前まで、70名以上。

協会理事長の林真理子は好きでも嫌いでもないけれど、こんな言葉があった。

「いろんな生き方」の中には一応いろんなことを試してみる、という人生もある。・・・ここで、声を大にして言いたいのは、貧困にあえぐシングルマザーにだけにはならないで、ということだ。どうか女性が、しっかりとした経済的基盤を身につけて欲しい。女性がしっかり稼いでいれば、好きな男といつでも結婚でき、いつでも別れられる、という自由を手に入れられるのだ。

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気が付いたことは、投稿先が雑誌や新聞であるのに、天下の読売・産経掲載の作品がなかったことである(⋈◍>◡<◍)。✧♡。

 

 

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猛暑の中、元気が良いのはこの花だけ。

2022年4月23日 (土)

『教誨師』 ~ 堀川惠子の本  

「暁の宇品」(暁の宇品陸軍船舶司令官たちのヒロシマ)を読んで、著者の洞察力と取材力に敬服。広島生まれの広島育ち。大学も広島という著者の背景。他の作品も読みたくなって手にしたのが本著である。

「教誨」とは広辞苑によれば 1)教えさとすこと 2)受刑者に対して刑務所で行う徳性の育成を目的とする教育活動。宗教教誨に限らないとある。

外国映画などで、死ぬ間際に牧師が立ち会う場面がしばしば見受けられるが、相手が死刑囚ともなればどんな対応ができるのか、興味深かった。

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著者が取材してきたのは、14歳でヒロシマを体験し、50年間死刑囚との対話を続けてきた僧侶の渡邊普相(1931-2012)氏。

死刑判決受刑者は執行日まで拘置所に留め置かれ、面会や手紙などの外部のやり取りを厳しく制限され殆どを独房で過ごす。教誨師は唯一面会できる民間人であり、執行現場にも立ち会う。それも無報酬で。

受刑者の色々な例の中で、印象的だったのは「三鷹事件」の竹内景助の例である。昭和24年国鉄三鷹駅で起きた、無人電車暴走事件(線路わきで6名が電車の下敷きで死亡)。人員整理に反対する国労の犯行との筋書きで捜査。共産党員9名と非共産党員の竹内が逮捕。なぜか、竹内だけが死刑判決。最高裁の法廷は「八対七」の僅差で竹内の死刑判決を確定させた。一票を争う死刑判決。そのせいか執行はされず、脳腫瘍で獄死。

まだ記憶にある大久保清はいくら教誨を薦められても「自分は宗教は信じないから」と頑なに固持したという。

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読むほどに、深い人間の闇に吸い込まれる。

 

 

 

 

 

 

 

2021年9月21日 (火)

『イタリアの匂ひ』 ~ 須賀敦子

何事も億劫になって、外出もしたくないというのは単にコロナ禍のせいだけではなく、老境になったからではないかとつくづく思う。過去を振り返ることが多くなった。幼少期、親の事、青春時代、さまざまなことを想い出す。変貌してしまった過去の場所、逝ってしまった人のなんと多いことか。

20代の半ばに差し掛かったころ、フィレンツエに憧れてしばし滞在したことがある。三島や、あさま山荘、テルアビブ、ミュンヘンオリンピック事件、そして川端康成の自死等々日本のニュースとして印象深い。 散歩がてらの書店で手にした日本文学の訳本はまだ見ぬ須賀敦子によるものであった。

彼女の本は殆ど網羅していると思っていたのだが、 急に須賀敦子に逢いたくなって、図書館ライブラリーにアクセス。2冊が目に留まった。

 

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本著は川上弘美選の精選女性随筆集の1冊。

再び出会った須賀敦子、イタリアの香りが満ち満ちていて、懐かしい。 中でも後に夫になる、ペッピーノ氏に向けた私信は没後ならではの発表であろうが、とても純粋で繊細、まるでアンネの日記のような感じもする。 勿論、手紙はイタリア語で書かれたので、岡本太郎氏が翻訳している。

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1965年、須賀敦子編訳による「日本現代文学選」がイタリアで出版された。ジョルジョ・アミトラーノ(ナポリ東洋大学教授)によれば、

彼女は作家になるずっと前から、もともと作家だった。彼女が話すとき、それが日本語であろうが、イタリア語であろうが、あるいは英語であろうが、聞き手は同様に理解できることだった。彼女のストーリーテラーとしての才能が、優れた作家としての資質がすべて揃っていた。

私は日本文学の教師になって以来、「日本現代文学選」をつかっている。翻訳された言語はまだ時間の跡を見せないし、小説の選択も古臭くない。この本がまさに新鮮さに溢れている証拠だ。須賀さんによる、その短い解説は、あらすじを漏らさず、ネタバレもせず、ストーリーの文脈を説明し、理解を手伝うためのヒントを読者に与えている。

収録作品

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今はどこにでも苗が売っていて、すっかり馴染みになったバジルだが、「イタリアから苗や種を持ってきてもなかなか生育ができないのよ」・・・と言っていたことを想い出した。

 

 

2021年2月23日 (火)

『ショック療法』 ~ 新自由主義とは?

カナダのジャーナリスト、ナオミ・クライン著の本書は10年前、岩波書店から発行されている。 自分の苦手な経済に関わる「新自由主義」の中身が濃い、本著のページを恐る恐るめくると、先ずは本のカバーには。

アメリカの自由市場がどのように世界を支配したか、その神話を暴いている。ショック・ドクトリンとは、「惨事便乗型資本主義=大惨事に付け込んで実施される過激な市場原理主義改革」のことである。

アメリカ政府とグローバル企業は、戦争、津波やハリケーンなどの自然災害、政変などの危機につけこんで、あるいはそれを意識的に招いて、人びとがショックと茫然自失から覚める前に、およそ不可能と思われた過激な経済価格を強行する・・・・・。

源は、ケインズ主義に反対して徹底的な至上主義、規制撤廃、民営化を主張したアメリカの経済学者ミルトン・フリードマンであり、過激な荒療治の発想には、故人の精神を破壊して言いなりにさせる「ショック療法」= アメリカCIAによる拷問手法が重なる。

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著者が目の敵にしているミルトン・フリードマン(ノーベル経済学賞受賞者)は何者か?から始まる。 彼の提唱する「新自由主義」はアメリカのみならず、世界中、ロシアや中国までも影響を受けたという、惨事便乗型資本主義。世界中の若学者たちをアメリカ留学という手法で洗脳していく。公営から民営へ・・・。 

そういえば、日本でもアメリカ帰りの竹中平蔵を後ろ盾に、あの郵政民営化がうなずける。銀行がどんどん合併し、現在でも世界の大企業が合併中。

まだ、上巻を読んだばかりなのに、あまりのショックで即、下巻を読む気力がない。 要するに自分がいかに無知であったかを悟るチャンスでもあった。 世界は拝金主義、人間は便利さと心地よさを求めるあまり、不幸にもなっていく。

現在のコロナという惨事中にも、金儲けをしている勝ち組達がうごめいているのだろう。

 

 

 

 

2020年8月15日 (土)

敗戦記念日に読む ~ 『はだしのゲン』

今夏は、先輩友人の漫画ファンから『はだしのゲン』を借りて初めて読んだ。 数年前、どこかの学校図書館から隔離されたという曰く付きのマンガである。 (児童に対する刺激が強すぎるという理由で)

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子供の頃は三度の飯よりマンガが好きだった。マンガというものは子供の読む本だと思っていたので、時折、電車の中で読んでいるおじさんを見かけると、知能がひくいのかなあ・・と思ったりしたものである。 全3巻の本の厚さは5センチ、かなり重~い。 作家の中沢啓治氏の被爆体験をリアルに表現した現代史ともいうべき作品。 漢字にはひらがなが振ってあるので、読者層はかなり広範囲であるが、内容を理解するには中学生ぐらいにならないと難しいかも知れない。

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読むほどに、反戦・平和・反核・・・となれば、現政権には不都合な果実、隔離されたのがうなずける。

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夏休みの読書本の中にはこの一冊を加えて欲しいし、若きロイヤルファミリーにも是非読んでいただきたいと思う。

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ゲンは一人じゃなくて、当時の日本には大勢いたという事実を実感する。

 

2020年8月 5日 (水)

『悪の華』 ~ リリイ

    「暗い深淵から出てきたか、明るい星から生まれたか? ぞっこん惚れた『宿命』が子犬のように後を追う。           気まぐれにそなたは歓喜を災害を処かまわず植え付けて、 一切を支配はするが、責任は一切持たぬ」 ボードレール

 

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本著はボードレールの有名な一節から始まっている。読み進むうちに、過去に自分が見聞きして、イメージした点と点がしっかり線になった。芦屋のお嬢様の出、カイロ大学主席卒業、アラビア語ペラペラという鳴り物入りでさっそうとメデイアデビュー。竹村健一に寄り添う姿を想い出す。つぶらな瞳で利用価値のあるおじさま方にピッタリ。あっという間に政界へ、環境大臣と防衛大臣の座に昇りつめ、今や、連日都のコロナ感染者数を発表しているが対策は見えない。

 

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したたかで、嘘つきな人間は万と居るけれど、ここまでの大嘘つきはほぼ犯罪か病気かまれにみる大天才! 銀座の有閑マダムならともかく、血税を預かるリーダーだとすれば、大問題である。

書店で山積み、単なる暴露本かと思いきや、丹念な調査に基づいているので反論のしようがないだろう。途中でウンザリ、ため息がでたが、読み終えた。 図書館では2年待ちぐらいの、時間がかかりそう。 数人で共同購入、回し読みが良いかもしれない。 これでもB層はリリイを選択するのか????・・・

夏マスクに緑の制服、テレビ登場のさかしらな知事を見るたびに、侘しくなる。

 

 

 

 

 

 

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