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読書の時間

2020年8月15日 (土)

敗戦記念日に読む ~ 『はだしのゲン』

今夏は、先輩友人の漫画ファンから『はだしのゲン』を借りて初めて読んだ。 数年前、どこかの学校図書館から隔離されたという曰く付きのマンガである。 (児童に対する刺激が強すぎるという理由で)

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子供の頃は三度の飯よりマンガが好きだった。マンガというものは子供の読む本だと思っていたので、時折、電車の中で読んでいるおじさんを見かけると、知能がひくいのかなあ・・と思ったりしたものである。 全3巻の本の厚さは5センチ、かなり重~い。 作家の中沢啓治氏の被爆体験をリアルに表現した現代史ともいうべき作品。 漢字にはひらがなが振ってあるので、読者層はかなり広範囲であるが、内容を理解するには中学生ぐらいにならないと難しいかも知れない。

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読むほどに、反戦・平和・反核・・・となれば、現政権には不都合な果実、隔離されたのがうなずける。

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夏休みの読書本の中にはこの一冊を加えて欲しいし、若きロイヤルファミリーにも是非読んでいただきたいと思う。

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ゲンは一人じゃなくて、当時の日本には大勢いたという事実を実感する。

 

2020年8月 5日 (水)

『悪の華』 ~ リリイ

    「暗い深淵から出てきたか、明るい星から生まれたか? ぞっこん惚れた『宿命』が子犬のように後を追う。           気まぐれにそなたは歓喜を災害を処かまわず植え付けて、 一切を支配はするが、責任は一切持たぬ」 ボードレール

 

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本著はボードレールの有名な一節から始まっている。読み進むうちに、過去に自分が見聞きして、イメージした点と点がしっかり線になった。芦屋のお嬢様の出、カイロ大学主席卒業、アラビア語ペラペラという鳴り物入りでさっそうとメデイアデビュー。竹村健一に寄り添う姿を想い出す。つぶらな瞳で利用価値のあるおじさま方にピッタリ。あっという間に政界へ、環境大臣と防衛大臣の座に昇りつめ、今や、連日都のコロナ感染者数を発表しているが対策は見えない。

 

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したたかで、嘘つきな人間は万と居るけれど、ここまでの大嘘つきはほぼ犯罪か病気かまれにみる大天才! 銀座の有閑マダムならともかく、血税を預かるリーダーだとすれば、大問題である。

書店で山積み、単なる暴露本かと思いきや、丹念な調査に基づいているので反論のしようがないだろう。途中でウンザリ、ため息がでたが、読み終えた。 図書館では2年待ちぐらいの、時間がかかりそう。 数人で共同購入、回し読みが良いかもしれない。 これでもB層はリリイを選択するのか????・・・

夏マスクに緑の制服、テレビ登場のさかしらな知事を見るたびに、侘しくなる。

 

 

 

 

 

 

2020年7月30日 (木)

ピエール・ロテイの『お菊さん』

永井荷風の日記には時々、ピエール・ロテイの名前が登場する。ロテイといえば、イスタンブルのエユップにある「ピエール・ロテイのチャイハネ」が有名で、そのカフェは金閣湾が見下ろせる高台にある。そこで、フランス海軍の将校でもあるロテイは現地の人妻と逢瀬を重ね、「アジアデ」という小説を書いたと言われる。

  
二度来日し、当時(明治18年)の長崎での退屈なひと夏を、一人の憐れむべき日本ムスメと過ごした。その作品が、「お菊さん」マダム・クリザンテムである。 自らも異邦人の経験を持つ荷風は異邦人の日本観察に興味があったに違いない。

日本蔑視ともとれる表現が気になるが、それも事実であったであろう。ラブストーリーではなく、日本娘を奇異な目線で観察している感が否めない。

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訳者の野上豊一郎氏は英文学者・農学者・作家、野上弥栄子氏の夫でありイタリア文学者・野上素一郎氏の父、哲学者・長谷川三千子氏の祖父・・・と代々の学者ファミリー。 初版は大正4年、日本語がとても奥ゆかしく、フランス風である。

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カフェは、博物館を兼ね、恋人たちの場所として、観光地として現存している。

 

 

  

 

2020年6月 6日 (土)

おしゃべりな本 ~ 「なんたってドーナツ」

子供時代の美味しいモノの記憶の中に「ドーナツ」がある。特に、戦後の貧しい時代のお菓子としてはサイコーに美味しいモノだったはず。駅の近くのチェーン店がなかった頃の話である。

41人の作者がその思いや想い出を語っている。 読むほどに心当たりのあることばかり・・・ ずらずらと読み進んでいるうちに、退屈になってくる。作者の体験は一人だけじゃなくて、当時の誰しも体験していること。途中で読むエネルギーが消えて行く。

 

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プレスリーの死因はドーナツの食べ過ぎだと、聞いたことがある。食べ方が半端じゃなかったらしい・・(コレハは想像)。

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成城石井の「焼きドーナツ」を購入。揚げてないからヘルシーと言うことらしいが、スポンジケーキの種をドーナツ型に入れて焼き上げたというだけで、ドーナツではなかった。 クリームを載せて、苺を散りばめれば、たちまちドーナツ風ショートケーキができあがりそう。ソレもあり、コレもありそう。

 

 

2020年3月10日 (火)

『荷風』入門

永井荷風の作品を読んだことがなかった。 死の前日までかつ丼を食べ続けたという逸話は知っていた。 大黒屋というその「かつ丼屋」が市川にあるというので、そのうち行ってみよう・・・と思っていたら、1年前に閉店してしまった。

日記は荷風33歳から死の直前79歳まで42年間に及ぶ記録である。上巻は大正6年から昭和11年まで、読むほどに、大正時代にタイムスリップして、当時の風俗や生活が銀座、浅草、玉ノ井・・・と疑似体験できるような気分になる。文体は漢文的なリズムで心地よい。

 

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高級官僚の子息であった、荷風は明治末期にアメリカ・フランスへと遊学。歌劇(オペラ)三昧の日々を過ごす。帰国後、慶応大学の教授に収まり、三田文学を創立・・・文士として大成。

前半は背広に帽子、舶来趣味のいでたちから一変、晩年は着物に、素足で下駄をはいて出歩いていたという。

 

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「荷風追想」は著名文士の荷風の死を悼み、谷崎潤一郎 ~ 川端康成等々、当時のそうそうたる文士たちの追悼集であるが、中でも石川淳氏の「敗荷落日」という辛辣な文章が的を得て、興味深い。

 一箇の老人が死んだ。通念上の詩人らしくもなく、小説家らしくもなく、一般に芸術的らしいと錯覚されるようなすべての雰囲気を断ち切ったところに、老人はただひとり、身辺に書きチラシの反故もとどめず、そういっても貯金通帳をこの世の一大事とにぎりしめて、深夜の古畳の上に血を吐いて死んでいたという。・・・・・・

まだ八〇歳にも手のとどかぬうちに、どうすればこうまで力おとろえたのか。わたしは年少のむかし好んで荷風文学を読んだおぼえがあるので、その晩年の衰退をののしるにしのびない。・・・・・

わたしの眼をうつものは、肉体の衰弱ではなくて、精神の脱落だからである。 言行に脈絡があることはある。ただ、そのことがじつに小市民の愚痴であった。・・・・荷風文学は死滅したようである。

 

 

 

 

 

2020年1月17日 (金)

「若き日の詩人たちの肖像」 ~ 怒りの文学

今頃になって、堀田善衛でもないかもしれないと思いながら、読書会の課題作品を読んだ。1918年、北陸の廻船問屋に生まれた著者はかなり恵まれた環境の中、慶応ボーイとして、若き日を謳歌。登場者の殆どが、そうそうたる実在人物たちにはため息が出る。

召集令状を待ちながら、彼らはせめて37歳ぐらいまでは生きたいものだと思っていたそうである。

20年ほど前、イスタンブルの宿で堀田善衛の友人だという80才前後の一人旅をしている紳士と出会ったことがある。その後、数年間、賀状交換をしていたが、プツンと返信が無くなった。もしかして、この作品に登場しているのかもしれない・・・。

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この作品は国家の横暴に対する怒りの文学であったかもしれない。現代の若い読者諸氏には、近代日本というものが、如何なる時期を内包していたものであるかを知ってもらうためにも、筆者はこの作品を諸氏の手に渡したいと思っている、と言うことを許して頂きたい。かの戦争における厖大な犠牲の果てに克ちとられた、現在程度の自由を守りつづけるためにも・・・。著者後書き

 

 

 

2019年11月16日 (土)

『アウシュヴィッツの歯科医』 ~ 収容所生活記録

本著は日記ではないけれど、収容所の生活が淡々と書かれていて、興味深い。 収容所に送還された当時、歯科医学生だった著者は歯科医の道具箱を持参していたことから、収容所で歯科医として勤め、生き延びた。 主に抜歯することが仕事だったが、「金」を得るために、遺体から金歯を収集する任務には辟易。

極悪な状況の中で、生き延びたナチ強制収容所の生活記録である。

 

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ベンジャミン・イコブス著 紀伊国屋書店

 

思春期の頃読んだ「アンネの日記」は収容所に送還されるまでの多感な少女の日記に感動しつつも、彼女を取り巻く環境には理解できないことが多かった。ドイツ国民が仰いだヒトラーとは一体何者だったのだろうか? 魔術師?それともペテン師?・・・

事実なのに、70数年を経て、まるで映画の一コマのような遠い過去になってしまったような気がする。

 

 

 

 

2019年5月10日 (金)

ふらんすの匂い ~ 「ミッテランの帽子」

ミッテランとは1981~1995までのフランス大統領のこと、登場人物も実在名。

ミッテランがレストランで黒のフエルト帽を忘れ、それを失敬した男から帽子は次々と4人の人物に渡り、最後にミッテランのもとに返るのだが、その過程が面白く、まるでお洒落なフランス映画を見ているような気分。 フィクションかノンフィクションか戸惑う内容だが、読んでいるうちにそれはどうでもよくなった。

久しぶりの楽しい読書だった。フランス語が解読できたら、もっと楽しかっただろう・・・。

 

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作者のアントワーヌ・ローランも翻訳者の吉田洋之も1970年代生まれの脂の乗り切った世代。今後の作品に期待したい。

 

 

 

 

 

2019年3月23日 (土)

「世界」をよむかい

岩波書店発行の「世界」は1946年創刊というから戦後とともに現在に至っているというスゴイ雑誌。 時々読んではみるけれど、なかなか読了!というわけにはいかず・・・・・。ところが、友人が「世界を読む会」とやらに入っているというので、参加してみた。 定年を迎えた団塊の世代を中心に、8割が男性の真面目なメンバー、リーダーは旧中学教師。 職業、職種、学歴や年齢等はどうでもよくて、「世界」を読んで、感想を述べ合う。

お国のためになりたいと、少女の頃に、従軍看護婦に参加したというAさん、4歳から20歳まで沖縄育ちのBさんは沖縄では内地の子としていじめにあったとか、ピアスの似合う実は旧レーサーで現在は医者のCさん等々・・・徐々に素性がわかってくるのも面白い。

暫く参加を継続したいと思っている。

 

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編集長の熊谷伸一郎氏は俗にいう大卒ではないらしい・・・・



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仲間の男性が自家製桜餅を持参して、ふるまってくれた。 桜の葉も自前という・・とっても美味しかった。この方は、小説を書いているらしい。

2019年1月21日 (月)

君はパレスチナを知っているか ~ 2冊の本

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このテーマはかつて「アンネの日記」を読んで以来、気になって、現在に至っている。 日本の歴史教育は、縄文、弥生、卑弥呼、聖徳太子などには触れるものの、近現代史は駆け足で終わってしまう、 教科書でも取り扱わないし、学習することが難しい、と思っていたら、現在はイスラエル・パレスチナ問題も教科書に掲載しているらしい。 認識不足だったのかも・・・。

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この本は30年前出版され、とても参考になった。 子供でも読めるようにカナが振ってある。 いろんな人に薦め、かなり評判が良かった。

最近は他にも色々本が出版されていると思うのだが、入門書としては年表や写真もあり、かなり参考になる。

その後の30年の続編も期待したい。

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これはごく最近読んだ、短編集(?)である。 内容はとてもリアルでフィクションとは思えないが、著者のコメントはただ一行のみ。

「この本に出てくる人物と事件はすべてフィクションで、実在の人物・団体とは関係ありません」

あえて、フィクションと言われると、現実味が遠くなり、ガックリ来るのだが、著者の恐れるものを想像するしかない。

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