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読書の時間

2020年6月 6日 (土)

おしゃべりな本 ~ 「なんたってドーナツ」

子供時代の美味しいモノの記憶の中に「ドーナツ」がある。特に、戦後の貧しい時代のお菓子としてはサイコーに美味しいモノだったはず。駅の近くのチェーン店がなかった頃の話である。

41人の作者がその思いや想い出を語っている。 読むほどに心当たりのあることばかり・・・ ずらずらと読み進んでいるうちに、退屈になってくる。作者の体験は一人だけじゃなくて、当時の誰しも体験していること。途中で読むエネルギーが消えて行く。

 

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プレスリーの死因はドーナツの食べ過ぎだと、聞いたことがある。食べ方が半端じゃなかったらしい・・(コレハは想像)。

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成城石井の「焼きドーナツ」を購入。揚げてないからヘルシーと言うことらしいが、スポンジケーキの種をドーナツ型に入れて焼き上げたというだけで、ドーナツではなかった。 クリームを載せて、苺を散りばめれば、たちまちドーナツ風ショートケーキができあがりそう。ソレもあり、コレもありそう。

 

 

2020年3月10日 (火)

『荷風』入門

永井荷風の作品を読んだことがなかった。 死の前日までかつ丼を食べ続けたという逸話は知っていた。 大黒屋というその「かつ丼屋」が市川にあるというので、そのうち行ってみよう・・・と思っていたら、1年前に閉店してしまった。

日記は荷風33歳から死の直前79歳まで42年間に及ぶ記録である。上巻は大正6年から昭和11年まで、読むほどに、大正時代にタイムスリップして、当時の風俗や生活が銀座、浅草、玉ノ井・・・と疑似体験できるような気分になる。文体は漢文的なリズムで心地よい。

 

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高級官僚の子息であった、荷風は明治末期にアメリカ・フランスへと遊学。歌劇(オペラ)三昧の日々を過ごす。帰国後、慶応大学の教授に収まり、三田文学を創立・・・文士として大成。

前半は背広に帽子、舶来趣味のいでたちから一変、晩年は着物に、素足で下駄をはいて出歩いていたという。

 

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「荷風追想」は著名文士の荷風の死を悼み、谷崎潤一郎 ~ 川端康成等々、当時のそうそうたる文士たちの追悼集であるが、中でも石川淳氏の「敗荷落日」という辛辣な文章が的を得て、興味深い。

 一箇の老人が死んだ。通念上の詩人らしくもなく、小説家らしくもなく、一般に芸術的らしいと錯覚されるようなすべての雰囲気を断ち切ったところに、老人はただひとり、身辺に書きチラシの反故もとどめず、そういっても貯金通帳をこの世の一大事とにぎりしめて、深夜の古畳の上に血を吐いて死んでいたという。・・・・・・

まだ八〇歳にも手のとどかぬうちに、どうすればこうまで力おとろえたのか。わたしは年少のむかし好んで荷風文学を読んだおぼえがあるので、その晩年の衰退をののしるにしのびない。・・・・・

わたしの眼をうつものは、肉体の衰弱ではなくて、精神の脱落だからである。 言行に脈絡があることはある。ただ、そのことがじつに小市民の愚痴であった。・・・・荷風文学は死滅したようである。

 

 

 

 

 

2020年1月17日 (金)

「若き日の詩人たちの肖像」 ~ 怒りの文学

今頃になって、堀田善衛でもないかもしれないと思いながら、読書会の課題作品を読んだ。1918年、北陸の廻船問屋に生まれた著者はかなり恵まれた環境の中、慶応ボーイとして、若き日を謳歌。登場者の殆どが、そうそうたる実在人物たちにはため息が出る。

召集令状を待ちながら、彼らはせめて37歳ぐらいまでは生きたいものだと思っていたそうである。

20年ほど前、イスタンブルの宿で堀田善衛の友人だという80才前後の一人旅をしている紳士と出会ったことがある。その後、数年間、賀状交換をしていたが、プツンと返信が無くなった。もしかして、この作品に登場しているのかもしれない・・・。

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この作品は国家の横暴に対する怒りの文学であったかもしれない。現代の若い読者諸氏には、近代日本というものが、如何なる時期を内包していたものであるかを知ってもらうためにも、筆者はこの作品を諸氏の手に渡したいと思っている、と言うことを許して頂きたい。かの戦争における厖大な犠牲の果てに克ちとられた、現在程度の自由を守りつづけるためにも・・・。著者後書き

 

 

 

2019年11月16日 (土)

『アウシュヴィッツの歯科医』 ~ 収容所生活記録

本著は日記ではないけれど、収容所の生活が淡々と書かれていて、興味深い。 収容所に送還された当時、歯科医学生だった著者は歯科医の道具箱を持参していたことから、収容所で歯科医として勤め、生き延びた。 主に抜歯することが仕事だったが、「金」を得るために、遺体から金歯を収集する任務には辟易。

極悪な状況の中で、生き延びたナチ強制収容所の生活記録である。

 

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ベンジャミン・イコブス著 紀伊国屋書店

 

思春期の頃読んだ「アンネの日記」は収容所に送還されるまでの多感な少女の日記に感動しつつも、彼女を取り巻く環境には理解できないことが多かった。ドイツ国民が仰いだヒトラーとは一体何者だったのだろうか? 魔術師?それともペテン師?・・・

事実なのに、70数年を経て、まるで映画の一コマのような遠い過去になってしまったような気がする。

 

 

 

 

2019年5月10日 (金)

ふらんすの匂い ~ 「ミッテランの帽子」

ミッテランとは1981~1995までのフランス大統領のこと、登場人物も実在名。

ミッテランがレストランで黒のフエルト帽を忘れ、それを失敬した男から帽子は次々と4人の人物に渡り、最後にミッテランのもとに返るのだが、その過程が面白く、まるでお洒落なフランス映画を見ているような気分。 フィクションかノンフィクションか戸惑う内容だが、読んでいるうちにそれはどうでもよくなった。

久しぶりの楽しい読書だった。フランス語が解読できたら、もっと楽しかっただろう・・・。

 

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作者のアントワーヌ・ローランも翻訳者の吉田洋之も1970年代生まれの脂の乗り切った世代。今後の作品に期待したい。

 

 

 

 

 

2019年3月23日 (土)

「世界」をよむかい

岩波書店発行の「世界」は1946年創刊というから戦後とともに現在に至っているというスゴイ雑誌。 時々読んではみるけれど、なかなか読了!というわけにはいかず・・・・・。ところが、友人が「世界を読む会」とやらに入っているというので、参加してみた。 定年を迎えた団塊の世代を中心に、8割が男性の真面目なメンバー、リーダーは旧中学教師。 職業、職種、学歴や年齢等はどうでもよくて、「世界」を読んで、感想を述べ合う。

お国のためになりたいと、少女の頃に、従軍看護婦に参加したというAさん、4歳から20歳まで沖縄育ちのBさんは沖縄では内地の子としていじめにあったとか、ピアスの似合う実は旧レーサーで現在は医者のCさん等々・・・徐々に素性がわかってくるのも面白い。

暫く参加を継続したいと思っている。

 

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編集長の熊谷伸一郎氏は俗にいう大卒ではないらしい・・・・



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仲間の男性が自家製桜餅を持参して、ふるまってくれた。 桜の葉も自前という・・とっても美味しかった。この方は、小説を書いているらしい。

2019年1月21日 (月)

君はパレスチナを知っているか ~ 2冊の本

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このテーマはかつて「アンネの日記」を読んで以来、気になって、現在に至っている。 日本の歴史教育は、縄文、弥生、卑弥呼、聖徳太子などには触れるものの、近現代史は駆け足で終わってしまう、 教科書でも取り扱わないし、学習することが難しい、と思っていたら、現在はイスラエル・パレスチナ問題も教科書に掲載しているらしい。 認識不足だったのかも・・・。

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この本は30年前出版され、とても参考になった。 子供でも読めるようにカナが振ってある。 いろんな人に薦め、かなり評判が良かった。

最近は他にも色々本が出版されていると思うのだが、入門書としては年表や写真もあり、かなり参考になる。

その後の30年の続編も期待したい。

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これはごく最近読んだ、短編集(?)である。 内容はとてもリアルでフィクションとは思えないが、著者のコメントはただ一行のみ。

「この本に出てくる人物と事件はすべてフィクションで、実在の人物・団体とは関係ありません」

あえて、フィクションと言われると、現実味が遠くなり、ガックリ来るのだが、著者の恐れるものを想像するしかない。

2018年9月15日 (土)

け む り そ う

タバコを煙草(けむりそう)と書くことを認識した時、すごく素敵な漢字翻訳だと思った。

きょうも元気でたばこがうまい!というキャッチフレーズとともに、過去の男性たちはいたるところで煙草を吸っていた。今では考えられない映画館、職場、電車、レストラン、病院等々で。 

飛行機にも禁煙席があったけれど、仕切りはなかった。そのうち新幹線に禁煙席ができたが、現在はすべて禁煙席である。パチンコ屋にも禁煙席があるのだとか。 果たして、煙草は絶滅するのだろうか?確かに愛煙家は減少している。

       紙巻の煙の垂るる夜長かな   芥川龍之介

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                出版社はキノブックス

健康に生きるために健康に生きる、その健康な人生は何のためのものなのですか。 池田晶子

夫人の喫煙を眺めるのは悪くない。理由は、それによってほどよいエロテシズムがでるからである。 丸山薫

タバコを禁じて肺癌が減少すると、この世はみるみるぼけ老人で充満するようになるぞ、この地球上に、いままでどころじゃない、救いようのない地獄がはじまるぞ、それを承知でタバコのみを弾圧しているのか。 山田風太郎

喫煙の悪癖は生理的耽溺ではなく、言語領域での心理偽装にすぎないのだ。あえて名付ければこれは一種の言語療法だろう。 安部公房

社会からはすでに献酬の習慣が消えた。今また、喫煙の習慣も消えようとしている。 けれども、共同体の存続よりも個人の健康を優先する人々が支配的になる社会において、人が今より幸福になると、私にはどうしても思えない。 内田樹

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ジョージアの公的市場では、ニコニコしながらおじさんが煙草を売っていた。 量り売りで買って、自分好みに巻いて吸うんだとか・・・。 巻紙も道具も売っていたので、愛煙家の俳句師匠のお土産に・・・と思ったけれど、税関で大麻と間違えられたら大変!  (そんな話をしたら、非常に残念がっていた)

2018年5月10日 (木)

こんな本は読みたくない!

最近、高齢化社会のせいか・・・「老い」に関する本が溢れている。 Me Tooというわけで本の山につい手を出してしまうのだろうか?? その気持ち、わかるわかる。 Book Offで100円だったので、購入してしまった。 30分で読み終えたが、感想は「ムナシイ」。 読まなきゃよかった・・・・。

老人が老人に説教している。この点では、常に、上から目線の曽野綾子氏に通じるものがある。自分は頭が良くて、正しい生き方をしているという自負心からなのだろうか?

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著者は元NHKのアイドルアナウンサーだったらしい(当時、わが家にはTVというものがなかったので、どんな話し方をする人なのか記憶にない)。

いつの間にか、エッセイスト+作家におなりになられたようだ。PC仕事などは事務所に任せているのだそうである。 事務所を持つほど高収入なのだろう。老人は老人でも格がちがうようである。 全く参考にはならない。100円損をした例。

2018年2月 9日 (金)

『てがみ』

敬愛する須賀敦子の私信となれば、覗きたい好奇心にかられる。 それも、活字ではなく、そのまんまだとしたら・・・あまりにも生々しくて、覗くことが罪悪感に苛まされるような気分になる。 もちろん、須賀が存命だったら、出版はされなかっただろう。没後20年という年月が、可能にした1冊なのかもしれない。

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宛名は親子ほどの年の差のあるスマさんという画家(女性)。結婚相手のアメリカ人とともに、日本を離れていた。その間(1975-1997)の須賀から彼女への私信である。 自分は1970年代の数年を某夜学校で須賀からイタリア語を学んでいた。須賀の話すイタリア話にうっとりと聞き惚れていた時期に、この生涯の友、「スマさん」に出会っていたらしい。

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写真なのに実物を読んでいる錯覚、誠実で、優しい・・・熱いものがこみあげてくる。「須賀先生、のぞき見してゴメンナサイ!」


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今なら、手軽なメールに依存してしまうところ、当時は電話は高額、手紙が常套手段だったけれど、こうして作品にもなる「てがみ」の尊さを思い知らされた。 これもひとえに須賀敦子という作家なればこそである。


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      訃報を知ったのは新聞、悼む記事のスクラップが出てきた

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  酸味がなく甘~い: 晩年の須賀敦子はこの「王林」が好きだったらしい

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