『新・反時代のパンセ』 ~ 辺見庸のことば
辺見庸という作家が気になる。不定期の1~2行の彼のブログを読んでいる。大病を患っていると聞くので、不掲載期間が長くなると心配になる。観念的で意味不明な表現も多いけれど、掲載確認できた時は、安否確認的に安心する。
生活クラブの冊子「生活と自治」には毎号執筆している。6月号には「砕かれた世界」と題して次のような言葉をよせているので部分的に抜粋してみた。
信じるにはあまりにも悲惨すぎる事態にわたしたちは直面している。なぜこれほどの殺戮を止めることができないのだろう・・・そう問うのは愚かだろうか? ナイーブにすぎるだろうか?いや、愚かでもナイーブでもない。答えに窮し、思考を停止して、目と耳を現実から逸らしているいるのだ。あるいは率直な答えが怖いのである。
活気づいているのは軍需産業だけではない。戦争の尻馬に乗って憲法改正を求める者たちの声が護憲派を動揺させているようにもみえる。わたしをふくむ9条護持派はなにがなし旗色がわるいようだ。ウクライナ情勢のダイナミズムが<軍備拡張は当然>という空気を醸しているからである。
ロシア軍のウクライナ侵略はわたしたちになにを教えているだろうか。西米軍事同盟の強化だろうか。戦争への自前の備えと覚悟だろうか。言葉。軍備ではなく、言葉が足りていない。ウクライナ現政権はネオナチによって支配されているというプーチン大統領とその支持者たちの大いなる「妄想」を解く言葉がまったく不充分である。
「わたしは他者が死ぬことについて有罪である」「他者の死はわたしのことがらである」 ー フランスの哲学者エマニュエル・レヴィナス(1906~1995)の言葉をいまはおろおろとなでさするばかりだ。
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