『コートダジュール』 ~ 旅の記憶
駅前の花屋で「ノボタン」の苗木を買った。 ラベルをよく見ると「コートダジュール」と書いてある。紺碧色の花が咲くかと思ったら、濃い紫色だった。 みじめな旅の記憶が蘇った。
半世紀前の貧乏旅行でスペインからイタリアへ向かう途中、コートダジュールと言われる海岸(ニース、カンヌ)を電車で通過したことがあった。当時のユーレイルパスはファーストクラスだけだったので、貧乏旅行者でも金持ち族と鉢合わせになる。襤褸リュックに着た切り雀のアジアの女の子を見る冷たい視線を、この時ほど感じたことはなかった。 紺碧の海の色だけが印象に残った。
パリではフランス語を話せないと切手すら売ってくれない。今思うと、当時のフランス人は英語が話せない人が多かったのだろう。それにしても冷たい! 須賀敦子がフランスからイタリアへ鞍替えしたのがうなずける。
それにくらべると、旅人に優しいトルコの旅はなんと心地よいことか・・・。
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