だまされて ~ 安達太良山へ
安達太良山はわがふるさとの山、と言っても一度も登ったことはなかった。山好きの友人夫婦に誘われて急にその気になった。ふもとの岳温泉に一泊、ロープウェイで途中まで行き、そこから1時間チョットという触れ込みだった。 その甘い囁きにその気になって、冥途の土産と思いつつの参加だった。
ところがところがである。岩ゴロゴロの登山道を歩けどもあるけども頂上は見えない。足元ばかり見ているので、途中の風景もさっぱりである。今年は猛暑で紅葉もしてなくて、借りたストックを頼りにゆっくり上へ上へ。やっと頂上へ辿り着いてもどんより曇っていて、何も見えない!おにぎり一個を食べて、下山となった。 雨も降ってきたので、傘をさしたら「山では傘は禁物!」と怒られた。 なるほど、ストックと傘では両手が使えない! 雨は止んだけれど、山道は濡れて滑りやすい。 何度も足をぶつけながらやっと下山。 ズボンは泥にまみれていたが、汚れを落とす気力もなく、そのまま新幹線に乗った。身心共にヨレヨレ。もう二度と山には登らない、イヤ登れない!
嘗て、勤務先の偉い人が言っていた「僕はあんな野蛮なスポーツはしません!」と・・・今、妙に納得。 登山愛好家はそこに山があるから、とか達成感とかいうけれど、その心はますますわからなくなった。
余裕があれば、途中の植物を観察する楽しみもあるのだろうが、まだ紅葉もなく、ナナカマドもすでに枯れ果てていた。ときおり、背の低いリンドウが咲いていたが、撮影する気力もない。 岩石に追いかけられる夢を見そうである。 往復五時間半という普通の倍以上の時間が経過。まるで介護士のような友人夫妻に支えられ、やっと下山。 しばらく疲労感に苛まされる日々が続きそう。
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岳温泉は子供のころから、よく耳にしていたひなびた湯治湯かと思っていたのだが、そんな風情もなく、新築ラッシュ。宿泊先は一番大きな旅館とやらで、どこにでもあるような団体向き、ブッフェスタイルの食べ放題。
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