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今頃になって、堀田善衛でもないかもしれないと思いながら、読書会の課題作品を読んだ。1918年、北陸の廻船問屋に生まれた著者はかなり恵まれた環境の中、慶応ボーイとして、若き日を謳歌。登場者の殆どが、そうそうたる実在人物たちにはため息が出る。
召集令状を待ちながら、彼らはせめて37歳ぐらいまでは生きたいものだと思っていたそうである。
20年ほど前、イスタンブルの宿で堀田善衛の友人だという80才前後の一人旅をしている紳士と出会ったことがある。その後、数年間、賀状交換をしていたが、プツンと返信が無くなった。もしかして、この作品に登場しているのかもしれない・・・。
この作品は国家の横暴に対する怒りの文学であったかもしれない。現代の若い読者諸氏には、近代日本というものが、如何なる時期を内包していたものであるかを知ってもらうためにも、筆者はこの作品を諸氏の手に渡したいと思っている、と言うことを許して頂きたい。かの戦争における厖大な犠牲の果てに克ちとられた、現在程度の自由を守りつづけるためにも・・・。著者後書き
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