『細雪』 トルコ語に翻訳 ~ NAZLI KAR
日本文学の代表作でもある谷崎純一郎の「細雪」が遂にトルコ語にも翻訳されました。
トルコ語では「NAZLI KAR」、 NAZLIという意味はわがままな、上品な、恥ずかしそうに、ゆっくり、繊細・・・・・・KARは雪。 ゆっくりゆっくり降る雪、三女の雪子のイメージなのだとか。
サイデステッカー氏の英訳は「The Makioka Sisters = 蒔岡姉妹」
翻訳は本当にデリケートな作業だと、思いながら映画などのタイトルはいつも原題がどんな意味なのか知りたくなります。 特に、細雪は昭和10年代の上方の滅び行く上流階級の日常生活や季節の行事など、日本の美が盛りだくさん登場する。 それを、どんなトルコ語に置き換え、読者はどんな想像力で理解するのでしょうか・・・・・。
(しかしながら、この表紙の4姉妹の髪型と着物姿には時代錯誤を感じてしまう、時は江戸ではなく、昭和なのだから)
本作品は戦時中に書き上げ、連載するも戦時下にはふさわしくないと評価され、掲載中止になったそうである。
今、改めてページをめくると「こいさん、頼むわ。」鏡の中で、廊下から後ろへ這入って来た妙子を見ると、自分でエリを塗りかけていた刷毛を渡して、其方を見ずに、眼の前に映っている長襦袢姿の、抜き衣紋の顔を他人の顔のように見据えながら、「雪子ちゃん下で何してる」と幸子はきいた。ではじまる。
この日本語を何と整理して、表現したのだろうか?と手にするのがとっても楽しみ。
翻訳者のEsin ESENさん: 4姉妹の中で4番目の妙子が好きなそうです。 訪日経験はないのに、日本人以上にしとやかな方。 現在、トルコのボアズチ大学その他で教鞭をとっていらっしゃいます。すでに「紫式部日記」も翻訳され、今後ますますの活躍が期待されます。
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Esin Esen さんは魅力的な女性です。
日本語のみならず日本文化にもかなり造詣が深くないと、紫式部や谷崎の翻訳は大変だと思います。今の日本には紫式部や谷崎の世界はないのかもしれないけど、一度日本へ来るようにオススめしてください。翻訳は原本とはまた違う、翻訳者の作品ですが、トルコの人がどのように解釈しているか興味深いです。残念ながらトルコ語がわからないので、翻訳本をまた日本語にしてみると
面白いかもね~。
JunJun
投稿: JJ | 2016年2月 9日 (火) 10時40分
彼女は本当に魅力的で、頭脳明晰な方です。(私たちの娘世代)
健康的な事情により、来日できないのはとっても残念ですが、 「源氏物語」妙訳者のアーサー・ウエリーも「菊と刀」の著者、ルイス・べネデクトも未来日でした。
語学コンプレックスの日本人から見ると、信じられない事ですね。
投稿: elma | 2016年2月 9日 (火) 11時04分