『赤とんぼ』 ~ レイコ・クルック (長崎文献社)
8月の軽井沢で特攻隊生き残りの画家、池田龍雄氏から、「赤とんぼ」の話を聞き、この本に辿り着いた。 現フランス在住の著者が子供の頃の鮮やかな記憶をもとに紐解かれた現代史でもある。
練習用特攻機として、戦争末期に木のプロペラと布張りで作られたお粗末な飛行機だったらしい。 赤い色なので「赤とんぼ」と呼ばれたとのこと。 当時12~14歳の洗脳された少年たちがお国のためにと意気揚々と志願したそうである。
著者が子供だったころ近所に長崎航空機乗員養成所があり、純粋な子供の目を通して当時の風景が甦る。
土を固めた滑走路に三機の赤とんぼがとまっている、近くで見ると赤とんぼは思ったより大きく、ツヤツヤした木製のプロペラ、二枚羽根の布のキャンパスにゴッテリと塗られた赤い塗料が、ところどころにひび割れていた。
乗員養成所弊社のあとに、アメリカ軍が軍用車をつらねて駐屯しにきた。 戦時中、<鬼畜米英>と叩き込まれた鬼たちが、この村に侵入してくる!
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