『ヒトラーの側近たち』 ~ 大澤武男 (ちくま新書)
ヒトラーとは何者か?という興味を持ちながらはっきりとした『答え』を見出せず、人生の大半を過ごしてしまった。 記憶力は大幅に減退しつつも時間の余裕とともにこの種の本を読み漁っている。
あの狂気に国民が一丸となって虜になっていく。43歳のヒトラーと若い世代の閣僚=側近たちは「ヒトラーの意思はすなわち法である」を基盤に次々と反対派を更迭、排除していく独裁者をローマ教皇すら食い止めることができなかったという事実。
独裁者を支えた側近たち(ゲーリング、ヘス、ハイドリッヒ、アイヒマン、ヒムラー、ゲッペルス等々・・)が何をして、どんな最後を送ったかを在独40年の歴史学者が淡々と著している。
ヒトラー最後の写真56歳の誕生日(1945年4月20日)
若いヒトラーが政治活動に飛び込んで以来の「ユダヤ人は死に値する」という空虚で実質のない主張、偏見は、側近・幹部ヒムラーを頂点とするSS組織により人類史上最大の犯罪にまで拡大されていった。
敗戦を前に逃げまどい、四散していった側近たち、次々と自決していった将軍たち、最後の最後までヒトラーにつき従うより仕方なかった側近従者たち、あわよくばヒトラー亡き後再起を考えたグループなど、終戦を前にした側近たちの身の処遇はまちまちであったが、問題はヒトラーを囲む彼らはあまりにも長く総統の独裁に黙ってつき従ってしまったことである
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