「東京プリズン」 ~ 赤坂真理 (河出書房新社)
主人公アカサカ・マリは著者と同じ1964年生まれで、著者そのもの、どうしても主人公に語らせたいのは学ばなかった日本近代史。
東京オリンピック後に生まれ、テレビや洗濯機が当然のごとく存在した世代、高度成長期の落し子。15歳で、アメリカへ留学、カルチャーショックに揉まれながら、日本を客観的に見つめることになる。
明治維新で途切れていた日本の歴史を掘り起こす作業が強いられた。特に「戦後」という課題にぶつかる。 「天皇は戦争責任があるかどうか」についてのデベート、それはまるで16歳の東京裁判であった。
★ ニュー文学というべきか、どことなく春樹ムードが漂う。主人公同様、文科省の教科書で端折られた日本近代史を知りたいと思う戦後世代の日本人は以外に多いのではないだろうか。
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