『慰安婦と兵隊』 ~ 心に響く詩
本日(5月16日)の東京新聞のコラム「筆洗」は河上政治さん(92)という方の詩が紹介され、「自らが一兵士として列に並び、妻や娘が慰安婦になる姿など想像できないだろう」というコメント。 とても心に響く詩なので掲載することにしました。
黒竜江に近い駐屯地に 遅い春が来たころ 毛虱駆除の指導で慰安所に出向いた
オンドルにアンペラを敷いた部屋は 独房のように飾り気がなく 洗浄の洗面器とバニシングクリームが 辛い営みを語っていた
いのちを産む聖なるからだに ひとときの安らぎを求めた天皇の兵隊は それからまもなく 貨物船に詰め込まれ 家畜のように運ばれ フイリッピンで飢えて死んだ
水銀軟膏を手渡して去るぼくの背に 娘の唄う歌が追いかけてきた
わたしのこころは べんじょのぞうり きたないあしで ふんでゆく おまえもおなじ おりぐらし いきてかえれる あてもなく どんなきもちで かようのか おまえのこころは いたくはないか
河上政治さんは陸軍の衛生兵、旧満州の慰安所で薬を配って歩いた経験を基に書かれたそうです。
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