映画 『愛、アムール』
結婚という絆に支えられて平穏な時間が流れたとしても、やがて老いと死がやってくる。愛があればあるほど別れは厳しい。心を失った妻を自宅介護する夫。二人だけの世界に突入してしまい、娘の意見も聴きいれない。
以前、日本でも認知症の妻と最後の旅をしながら、海に入水した老夫婦の心中事件があった。長年の伴侶が壊れてしまったとき、夫は片腕どころか両腕を失ってしまうのではなかろうか。 追い詰められた男の生真面目な頑固さと弱さを見せつけられた思いがする。 現実的で怖い映画でもある。
夫を演じているのは「男と女」のジャン・ルイ・トランテニヤン、妻役は「24時間の情事」のエマニュエル・リヴァ、二人とも演技をしていないような自然体でリアリテイがあるのは過去の映像が重なるからかもしれない。
監督: ミヒャエル・ハネケ
2012年カンヌ、パルムドールを受賞
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