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4月も半ばを過ぎたというのに、春らしからぬ日々が続いている。 久しぶりに大泉学園にある牧野庭園を散策。 博士の住居をそのまま保存し、300種を超える草木類の植生する佇まいはひっそりと静かな風情、他に入館者は見当たらない。
練馬区立『牧野記念庭園』 03-3922-2920 休館日:火曜日
人の名前も草木の名前もなかなか覚えられない。 笹はササ、つつじはツツジ、桜はサクラでいいんじゃないかと思ってしまうのだけれど、学問ともなるとそうはいかないらしい。
当時そのままの姿をとどめる書斎、パソコンもデジカメもない時代、電気ストーブは進んだ神器だったに違いない。 木造自宅は耐火建築コンクリートの中にしっかりおおわれて、雨風を凌いでいる。
自宅は2階建てだったらしいが、現存するのは一階書斎部分のみ、晩年まで研究に勤しんでいる牧野富太郎博士の写真。
庭でひときわ鮮やかな色を呈していたのは赤いツツジと藤色のフジ。 他には控えめな草木が息を忍ばせているようだった。
ノダフジ(野田藤) →
結婚という絆に支えられて平穏な時間が流れたとしても、やがて老いと死がやってくる。愛があればあるほど別れは厳しい。心を失った妻を自宅介護する夫。二人だけの世界に突入してしまい、娘の意見も聴きいれない。
以前、日本でも認知症の妻と最後の旅をしながら、海に入水した老夫婦の心中事件があった。長年の伴侶が壊れてしまったとき、夫は片腕どころか両腕を失ってしまうのではなかろうか。 追い詰められた男の生真面目な頑固さと弱さを見せつけられた思いがする。 現実的で怖い映画でもある。
夫を演じているのは「男と女」のジャン・ルイ・トランテニヤン、妻役は「24時間の情事」のエマニュエル・リヴァ、二人とも演技をしていないような自然体でリアリテイがあるのは過去の映像が重なるからかもしれない。
監督: ミヒャエル・ハネケ
2012年カンヌ、パルムドールを受賞
まだ6歳ぐらいだった子供のころ、近所の駐在所に赴任して来たおまわりさん一家にはきょうこちゃんという目のパッチリしたかわいい女の子がいた。よく一緒に遊んだ。
電車ごっこをする時、きょうこちゃんの得意な駅はヨノモリだった。『次はヨノモリ~』と言って電車を止めた。 彼女の言う、ヨノモリが『夜ノ森』であることを認識したのはごく最近である。 しみじみと地図を眺めると海の近くの風光明媚なところで、その頃は原発もなく平和な場所だったはず。
バリケードの奥に満開の桜並木、放射線量はいまだに毎時5・42マイクロシーベルト。 この現実にきょうこちゃんもどこかで心を痛めているに違いない。 ヒトは目に見えないものにはあまりにも鈍感である。原発推進派を名乗るヒトたちはこのような土地の哀しみを感じることはないのだろうか? といつも不思議に思う。
トルコの桜も満開ですと写真が送られてきた。 三笠宮殿下が日本語学科が開設された折、キャンパスに苗木を植樹されたという桜である。当初はヒョロヒョロとして枯れてしまいそうな雰囲気だった。 年々成長して、今はライトアップされ日本語学科のシンボルにもなっている。
友人がトルコの大学『チャナッカレオンセキズマルト大学・日本語教育学科』に赴任して20年の歳月が流れた。
現地の新聞にも「プリンスの桜の木が20歳」という見出しで掲載されたそうです。
若い蕾たち: 植樹されたときはまだ生まれていなかった今年の1年生(18~19歳)
『草をしとねに 木の根を枕 花と恋して九十年』
と自ら詠んだ生涯を1957年94歳で終えた日本植物学の父、牧野富太郎博士の生誕150年を記念して酒造会社の司牡丹がミニサイズ(2合瓶)の日本酒を新発売。
花と恋をしてしまった博士にふさわしく、パッケージも清楚で可愛い。もっぱらプレゼントに愛用しているけれど、反応はまだ得られない。酒豪には物足りない、淡泊な味わいなのだろうか?
お天気の良い日には練馬区大泉の博士が晩年を過ごした牧野記念庭園に出かけて植物の名前を覚えるのも楽しいかもしれない。
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