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2013年1月 6日 (日)

アラ傘作家を斬る ~ 斉藤美奈子

筑摩書房の小冊子「ちくま」1月号の世の中ラボ編「昭和一桁生まれのベストセラー作家に学ぶ」は日頃の思いを代弁してくれて痛快。

いつもながら斉藤美奈子女史の毒舌には小気味よさが漂う。

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斬られたアラウンドエイテイー(アラ傘寿)の4人の売れっ子作家達とは

● 石原慎太郎翁: 都知事を電撃辞任し、年下の橋下をたぶらかして新党立ち上げ、国政に打って出るだけでは飽き足らず、首相の座を狙おうというのである。ここまで来ると老害だが、体力といい気力と言い、口の減らなさ、懲りなさといい、枯れとは無縁のこの人の「若さ」は半端じゃない。

● 愛と性の伝道師 渡辺淳一: 「老い方レッスン」

元気の源は何度も同じ話をする「反復力」であろう。この話は前にも・・・などと進言してはいけない。これが老いの芸なのだ。

● 説教界の女王 曽野綾子: 「人間の基本」

論の進め方に独特のパターンがある。「あなたが知らない世界にわたくしが行った時」という話がお好き。貧困地帯の見聞録が出てきた後の展開は「こんな悲惨な土地にくらべたら、いまの日本は豊かだ、平和だ、貧困はない。どんな危機にも自己責任で備えるべきで、支援に頼るのは日本人の甘えだ、堕落だ、権利を教えて義務を教えてこなかった戦後教育の欠陥だ、云々」世界中の弱者をダシに、足元の弱者を切る

● 深夜ラジオの貴公子 五木寛之: 「選ぶ力」 

「下山の思想」で山を下りたのかと思ったらで再び上へ。 タイムリーな話題を適度にまぶしつつ、ときたま「どうだ」というフレーズで決めてみせるのが流儀。迷う話が延々に続き、話題はいつか健康方面にシフトして、方向性を見失う。この本の特徴は「脱線力」だろう。健康と仏教の話題だが、すべては出たとこ勝負。選ぶことも選ばれることも「思うままにはならない」世の中なのだといわれても、誤魔化された感じ。

そして続く

さあ、以上の三冊から何を学ぶか。題材や論理に新鮮さはなく、内容的に学ぶところはあまりないのだ。にもかかわらず、これらが書かれ、しかも確実に売れるのは、ひとえに著者のブランド力にかかっている。中身はもちろん、タイトルさえ、極端にいえばなんでもいいのだ。慎太郎がなぜだか票を集めるのと構造としてはおなじである。

やはり、戦前戦後現代を知っている自負がそうさせるのだろうか? 読者側もポリシーがないと、ブランド力に左右され、大先生作家モノを購入し、感動(?)し続けることに・・・・・

さて、おばさんは名ブランドの「徒然草」でも読もうかなア。

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コメント

正に、ドンピシャ!スカッとしますね。

毒舌って言うより、ドンピシャですね。
同じ事を思ってる人がいるんだ~って思いましたです。

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