映画「オレンジと太陽」 ~ 児童移民トラスト
イギリスの社会福祉士Margaret Humphreysの実体験を綴った、原作『 からのゆりかご―大英帝国の迷い子たち』の映画化である。(都留信夫・敬子訳 日本図書刊行会)
1986年、ソーシャルワーカーのマーガレットは、シャーロットという女性から自分のルーツを調べてほしいと相談を受けた。オーストラリアからはるばる訪ねてきたシャーロットは少女時代、ノッティンガムの児童養護施設にいたが、ある日、他の児童たちとともにオーストラリアに移送された。養子縁組ではないその移送に疑問を抱いたマーガレットが調査したところ、シャーロットと同じ扱いをうけた人々がオーストラリアにたくさんいることを知り、彼らの家族を探すことに。 監督ジム・ローチ 6月8日まで岩波ホール
児童移民とは、19世紀から1970年代まで養護施設の子供たちを長い間イギリス連邦の旧植民地に移住させた事業。オーストラリアでは収容施設での重労働、暴力、性的虐待がはびこったが、教会により長く隠されてきた。児童移民の数は13万人を上回ると推計され、2009年11月にオーストラリア首相が、2010年2月にイギリス首相が事実を認め、正式に謝罪、イギリス近代史最大の恥部とされている。
マーガレット・ハンフリーズは原作の印税をもとに基金「児童移民トラスト」を設立し、現在も児童移民だった人々の家族を探す活動を続けている。 http://www.childmigrantstrust.com/ ←「移民トラスト」ホームページ
背景の一つには「金」 = 国内施設で養護するよりオーストラリアで養護するするほうが安いという、いかにも大英帝国らしい発想ではないか?大国は時に残酷な爪痕を残すけれど、本件に関して英国政府は謝罪という勇気を持ったのである。
英国首相の謝罪映像
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