アラン・レネの新作 ~ 「風にそよぐ草」
フランスの映画監督、アラン・レネの新作が日本上陸したというので岩波ホールへ駆け込んだ。
『去年マリエンバードで』『24時間の情事(ヒロシマ・モナムール』『夜と霧』・・・・ヌーベルバーグの先駆者として活躍していた時代の作品を想い浮かべる。
1922年の生まれだからもう89歳。最後の作品かもしれない、作品はどんな風に変化したのだろうか・・・、多少精彩が衰えても我慢しよう・・・と覚悟を決めてスクリーンに向かった。
映像のイントロはコンクリートを割って伸びている雑草が映し出される。 これが滑走路の割れ目に生えている雑草であることが徐々に分かってくる。
足に問題がある(実は外反母趾?)という女主人公が靴を選ぶシーンはカラフルな靴と足の映像が美しいが、顔が見えない。 靴屋を出た瞬間、彼女の黄色いショルダーバックがひったくられる。それでも、彼女のモジャモジャ頭の後姿だけが映し出され、観客はどんな顔なのか早くみたいとあせるミステリアスなムード。
赤や黄がアクセントの映像の連続、どこを切り取っても一枚の『絵』になる。十分レネらしさを堪能させてくれるが、老いらくの恋 = 最後の恋として完結するには余りにももったいない。まだまだ新しい作品を期待したいという思いを抱きながら氷雨の神保町を後にした。
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